どんな紛争も最後は解決します

　交際していた男性の妻に要求され６００万円の慰謝料を払うという念書を書かされた女性の相談を受けました。

　男性の妻は、夫の行動が不審であると探偵社に頼んで調査をさせて女性の住所を突き止め、女性のマンションに男性が滞在していたところに踏み込んできました。

　妻は自分の母親や妹を援軍に連れてきており、女性に「慰謝料６００万円を払え」と大声で要求しました。

　長時間の押し問答の結果、女性は根負けして妻の要求する通りの念書を書かされてしまいました。間もなく妻が女性を相手に６００万円を請求する裁判を起こしてきました。女性の依頼を受けて裁判を闘い、念書が女性の真意で書いたものではなかったことの立証に努めました。

　その結果、裁判所は、念書は妻やその母親らに脅されて書かされたものであり、念書の効力を認めずこちらの主張が通る形で決着しました。

　依頼者の女性は、交際していた男性の妻から不貞の慰謝料請求裁判を横浜地裁に起こされ、私を訪ねてきました。男性が結婚をしていたとは知らなかった、男性にだまされていたというのです。

　相談には交際相手の男性も同行してきて、私の前で、女性をだまして交際していた事実を認め、謝罪文を書きました。

　もし交際相手が結婚していることを知らず、しかも結婚していることに気がつかなかったことに落ち度がなかったとすれば、依頼者の女性は慰謝料を払わなくてもよいことになります。自分の行動に故意または過失がなければ、金銭の賠償責任を負わないというのが民法の原則だからです。

　そこで裁判では、依頼者の女性はだまされていたもので、交際に故意はもちろん過失もなかったことを強調しました。男性が依頼者の女性をだますために結婚式場めぐりをしていた事実や、男性が週末には何度も女性の家に宿泊していた事実を主張・立証しました。これらがなんとか奏功し、女性は妻に20万円を支払うだけで裁判上の和解となり、紛争を終えることができました。

　言うまでもなくこの事例で、最も重い責任を負わなければならないのは交際相手の男性です。女性は、男性に対し、裁判とは別に、だまして結婚の期待を持たせ交際に持ち込んだことに対する慰謝料を獲得しました。　　

　出会い系サイトで知り合った女性と交際を始めたものの、別れ話がこじれて警察沙汰になったという男性の事件の委任を受けました。

　男性は、結婚を意識させる発言を繰り返し、女性と性的関係を持ちました。しかし女性の言動に少々エキセントリックな点があったこと、女性が人格障害があると述べたことなどをきっかけに男性は怖くなり、「重い病気になった」とか「遠隔地に転勤が決まった」などとウソをついて円満に別れるための発言を繰り返しました。かえってそれがいけなかったのかもしれません。

　女性は、男性を独占しようとするようになり、自室で包丁を持ち出して結婚を要求するなどの行動を取り始めました。警察沙汰にもなった挙句、憔悴した男性が私に連絡をしてきました。２年近くかかりましたが、最終的に男性がお金を払って決着しました。