弁護士事務所の規模は様々です。複数の支店があり、所属している弁護士が数十名いるという弁護士事務所もあれば、1名もしくは数名の弁護士が所属しているだけの小規模な弁護士事務所もあります。

弁護士事務所の規模によって、依頼者の満足や解決に、違いがあるのでしょうか。

規模が大きい弁護士事務所の場合、インターネットで検索をかけると、比較的簡単に事務所の詳細が確認できます。インターネットで大々的に広告費をかけて集客をしているからです。アクセスしやすい立地が多いこともメリットといえるかもしれません。

反面、規模が大きい事務所は、設立が比較的新しいところが多いという印象です。事件を担当するのが若くて経験の乏しい弁護士で、依頼者が不安を感じるケースも多いといわれています。これは、規模が大きい事務所が、コストの安い若い弁護士を大量採用して大量に事件処理を委ね、利益を出すというビジネスモデルをとっているためです。場合によっては、依頼者の方が弁護士と直接話ができず、弁護士ではないスタッフのヒアリングを受けなければならないこともあります。

一般的に、小規模事務所は小回りが利くというのがメリットといえます。弁護士の顔が見えやすいという長所もあります。小規模事務所にも、経験の少ない弁護士しか在籍していない弁護士事務所もありますが、中には、比較的歴史があり地域に定着した弁護士事務所もあります。経験を積んだ弁護士が最初から最後まで対応するケースも多く、この点では小規模事務所が勝っているような印象です。

在籍している弁護士の数が多ければ、1つの案件を複数の弁護士で取り組むことができる場合もあります。しかし現実には、1人の弁護士に割り当てられた事件数が多く、1つの離婚事件に複数の弁護士が就くことは、研修期間中の新人弁護士を配置する場合などを除いて、けっして多くありません。

1つの事件にかかわる弁護士やスタッフが多くなりすぎると、情報伝達がうまくいかずに滞留する恐れもあります。この点、小規模事務所なら1名もしくは数名のみで対応するため、情報伝達はスムーズかもしれません。

規模が大きいと、取り扱う案件の数も多く、実績も増えます。実績が多ければ多いほど安心感につながるでしょう。しかし事務所全体の実績は、対応する弁護士の実績と同じではありません。

小規模事務所は、実績数では大規模事務所にはとてもかなわないと思われます。もっとも、弁護士ごとの実績数は必ずしもそうではありません。大規模事務所の経験の浅い弁護士よりも、多くの経験を積んだ弁護士が対応する可能性もあります。

大規模・小規模ともにメリット・デメリットがあります。たとえ、時間と労力、費用は掛かったとしても、いくつかの弁護士事務所に相談をすることをおすすめします。大切な自分の主張や権利を委ねることができる弁護士かどうか、自分の目で確認することをおすすめいたします。不本意な気持ちのまま安易に弁護士に委任をしてしまうと、後悔することになりがちです。途中で解任するのは、大変な精神的負担や費用がかかることがあるからです。

実際に法律相談を受けて、自分の気持ちに耳を傾けてくれるかどうか、自分の考えを理解してくれるかどうか、相性が良く話しやすいと感じられる弁護士かどうか確認し、頼れる弁護士を選んでください。

離婚相談をするにあたり、相談や依頼の費用は気になるポイントです。離婚相談の費用が安い弁護士事務所を探すにはどうしたらいいのかご紹介します。

十分な収入や資産がない方は、法テラスの立替払い制度を利用することが可能です。これは、離婚問題で調停や裁判を利用せざるを得なくなった場合に、弁護士費用や調停、裁判の実費を立替払いしてもらえる制度です。法テラスが立替払いした弁護士費用や実費は、依頼者の方が月額1万円程度の分割払いで法テラスに返済していくものです。法律相談は3回まで法テラスが負担し、依頼者の方は費用が掛かりません。

法律相談を受けるに先立って、法テラスと契約をしている弁護士がいるかどうか、問い合わせてみるのもいいでしょう。

法テラスの報酬基準は、全国の弁護士報酬の最安値水準です。法テラスと契約する弁護士が在籍していない弁護士事務所は、「法テラスの水準の報酬では事件を受けない」と宣言しているものといえ、一般的に弁護士費用が割高であるといえます。

弁護士に知り合いがいる場合や、弁護士に相談したことがある知人が身近にいるときは、良心的な費用で請け負ってくれる弁護士はいないか聞いてみるのもいいでしょう。

インターネットを使って自分で弁護士事務所を探す方法は、費用が安い弁護士事務所を探す方法として効果的です。

弁護士事務所の多くは独自のホームページで、費用だけでなく今までの解決事例や得意分野など弁護士事務所の特徴を掲載しています。費用の大体の金額相場も掲載しているので、費用を比べることができそうです。

できるだけ安い弁護士事務所を探したいという気持ちが生まれるのは当然です。しかし、安ければいいというわけではありません。費用を惜しんで、自分が信頼することができる弁護士への依頼を見送り、結果、弁護士から満足できるサポートを受けられず、調停や裁判が不本意な結果に終わったとすれば、本末転倒ともいえないでしょうか。

安さだけではなく、自分が望む紛争解決ができそうか、安心して任せることができそうかを十分に見極めて、依頼する弁護士事務所や弁護士を決めるのがいいでしょう。